隆慶一郎さん

「影武者徳川家康」から読み始めた隆慶一郎さんの本ですが、全て読破して連載中の「花と火の帝」まで追いついた時、隆慶一郎さんが若くして亡くなりました。この時は”隆ワールド”に浸っていた私としてはショックでした。絶対にお勧めの隆慶一郎さんです。

『影武者 徳川家康』
 慶長五年関ケ原。家康は島左近配下の武田忍びに暗殺された。 家康の死が洩れると士気に影響する。このいくさに敗れては徳川家による天下統一もない。 徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。 しかし、この影武者、只者ではなかった。 かつて一向一揆で信長を射った「いくさ人であり、十年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ…。(新潮文庫上巻解説)
 関ケ原で見事な勝利を収めた徳川陣営。 しかし、嫡子・秀忠による徳川政権が確立すれば影武者は不要となる。 その後の生命の保障がないことを知った影武者・二郎三郎は、家康を斃した島左近を軍師に、甲斐の六郎率いる風魔衆を味方に得て、政権委譲を迫る秀忠、裏柳生と凄絶な権力闘争を始めた。 そして、泰平の世を築くため、江戸・大坂の力を拮抗させるべく駿府の城の完成を急ぐ。(新潮文庫中巻解説)
 いまや二郎三郎は、秀忠を自在に操る家康なみの智将であった。 彼の壮大な夢は、江戸・大坂の和平を実現し、独立王国=駿府の城を中心に自由な「公界」を築くことだった。 キリシタン勢力を結集した倒幕の反乱を未然に防ぎ束の間の平安を得るが、秀忠の謀略から遂に大坂の陣の火の手が上がる。 自由平和な世を願い、15年間を家康として颯爽と生き抜いた影武者の苦闘を描く渾身の時代長編。(新潮文庫下巻解説)

『吉原御免状』 
 宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。 だが、その地に着くや否や、八方からの夥しい殺気が彼を取り囲んだ。 吉原には裏柳生の忍びの群れが跳梁していたのだ。 彼らの狙う「神君御免状」とは何か。 武蔵はなぜ彼を、この色里へ送ったのか。 ―吉原成立の秘話、徳川家康影武者説をも織り込んで縦横無尽に展開する、大型剣豪作家初の長編小説。(新潮文庫解説)

『かくれさと苦界行』

 徳川家康より与えられた「神君御免状」をめぐる裏柳生との争いに勝ち、松永誠一郎は色里・吉原の惣名主となった。 だが、一度は敗れながら、なお執拗に御免状を狙う裏柳生の総師・柳生義仙の邪剣が再び誠一郎に迫る。 加えて吉原を潰すべく岡場所が各所に乱立し、さらに柳生の守護神・荒木又右衛門も江戸に現れた。 ついに吉原と裏柳生全面対決が―。圧倒的迫力で描く時代長編。(新潮文庫解説)

『花と火の帝』(未完)

 後水尾天皇は十六歳の若さで即位するが、徳川幕府の圧力で二代将軍秀忠の娘、和子を皇后とすることを余儀なくされる。 「鬼の子孫」八瀬童子の流れをくむ岩介ら“天皇の隠密”とともに、帝は権力に屈せず、自由を求めて、幕府の強大な権力と闘う決意をする…。 著者の絶筆となった、構想宏大な伝奇ロマン大作。(講談社文庫上巻解説)
 徳川家康、秀忠の朝廷に対する姿勢は禁裏のもつ無形の力を衰弱させ、やがて無にしてしまうことだった。 「禁中並公家諸法度」の制定や「紫衣事件」などの朝廷蔑視にあって、帝は幕府に反抗し、女帝に譲位し、自らは院政を敷くことにする…。 波瀾万丈の生を歩まれる後水尾天皇を描く、未完の伝奇ロマン。(講談社文庫下巻解説)