武田鉄矢さん

「母に捧げるラストバラード」

”中年こそ荒野をめざす”から
人生を一日で例えるなら、年齢を3で割った数字が時間である。18才の人は朝の6時、36才が正午、45才は15時(午後3時)、60才は午後8時というぐあいである。
眠りから覚めて早い人は15才(朝5時)から社会人となり、36才で人生の真ん中、まだまだ人生はこれから本番という年齢です。希望に満ちた年齢を通過して、45才ぐらいになると3時のおやつの時間、おいしいおやつ(浮気、博打など)を食べたくなる年齢です。離婚があったり、道を誤る人も多くでます。ここを過ぎると、人生の黄昏時になってきます。冬時間の人は5時(51才)ごろには暗くなってきます。反面、夏時間の人は8時(60才)ぐらいまで明るい時間を持っています。例外として長島茂雄さんなどは北欧の夜のない一日のようなもので、おそらく死ぬまで太陽が出ている人かも知れません。

果たして自分は夏時間でしょうか?。冬時間でしょうか?。又、北欧時間でしょうか?ただ北欧時間も昼ばかりの人と、夜ばかりの人があります。人生を一日に例えて見てみることも面白いと思いました。

”中年期は中年鬼、少年期は少年鬼”から
六ヶ月近くもかかって、木製の戦艦大和の巨大モデルを完成させ、池に浮かべて、空気銃で撃ち抜く中学生が近所にいました。沈まぬ大和に苛立ち、私達小学生に「石を投げて沈めろ」と命じ、泣きそうな顔で、自分も石を投げ続ける中学生でした。
 少年のあの頃、完成させたものを一瞬のうちに破壊することが、いちばん夢中になれる物語でした。
 完成を拒否するーこの少年の心が、「鬼」を呼び寄せるようです。
 「鬼」が少年には必要なのです。何故なら、完成されてしまえば、少年は幼い老人として人生を終了してしまうからです。
 少年は「鬼」を呼ぶ。幼い老人になることを拒否するために。そして「鬼」と「死」へ接近する。

という論説を展開して、「鬼」は必要悪の存在だと言います。自己の心の深層に棲む「鬼」と出会う危ない瞬間が人生には必ずある。それは大人になるための大切な洗礼だとこの本は述べます。又、中年期に、もう一度、この「鬼」は現れます。危険な中年期のことも述べられていますが、読めば面白い本です。